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彼のこれまでの活動をよくご存じの方には今さら説明するまでもないコトだと思いますが、佐野元春さんというアーティストは日本を代表する「ミュージシャン」であり「ソングライター」あると同時に、研ぎ澄まされた感性と美しい表現力を持った「詩人」でもあります。そしてそれらの才能がひとりの人間に共存するコトの、おそらくは当然の帰結として、彼はプロのアーティストとしての活動の中でかなり早い段階から「ポエトリーリーディング」という表現形態にアプローチを続けて来ました。そんな彼がこういったイベントを行うというのは極めて当然のコト、ひとつの集大成となるだろう・・・と思っていたら、そもそもこのイベント、会場である鎌倉芸術館がここ数年定期的に行っている「詩と音楽のコンサート」の5回目なのだそうで。会場内では、たぶん芸術館の会員と思われる、かなりご年輩の方が何人かいらっしゃってました。果たしてこの方々に「佐野元春」という表現者はどう映るのでしょうか? ステージは大体の予想通り。中央にマイクスタンド、その後ろにグランドピアノ。ステージに向かって右端にドラム、ドラムとピアノの間がベース。左端はシンセで、シンセとドラムの間にサックスがあります。 オープニングの2曲が「ポップ・チルドレン」「廃墟の街」と「スウィート16」からの2曲。(以前のライブで同じような形態で表現されたコトがあるようで「スポークン・ワーズ」にも収録されてるのですが、私は持っていないので詳細はわかりません。)うーん・・・「新鮮」ではあったのですが、むしろ「違和感」の方が強いかな。もともと彼は「朗読するように歌う」人ではあるのだが、それでも違和感は拭えない。これは、音楽的なコトとか詩との組み合わせがどうこうというのではなく、やはり「歌われるために書かれた言葉」と「読まれるために書かれた言葉」は本質的に違うのではないかと思う。 「リアルな現実・・・」は「Moto Singles 1980-1989」というアルバムにも収録されているので知っていたけど、まさかこれを生で聴く時が来るとは思わなかった。(笑) 「僕は愚かな人類の子供だった」で拓夫さんが吹いているフルート、いつもと違うなぁ。色がついてるなぁ。と17列目から目をこらして(笑)見ていたのですが、実は「アイリッシュ・フルート」だったらしい。どういうものかはちょっと検索していただければわかるかと思いますが「キーではなく6つの指穴を直接押さえて音階を出す、木製のフルート」だとお考え下さい。金属製フルートでは出せない、どこか懐かしさを感じる音です。 7曲目からは彼がずっと書き続けている「エーテルのための序章」から。えっと・・・「スポークン・ワーズ」すら持ってないとかほざいてるヤツがこれについて説明できるはずがないのですが・・・(爆) じゃあなんで行ったのだ。(笑)>自分 全体的にジャズの要素が強いアレンジでまとめられているのは、元春さんの意図なのか井上さんの意図なのか、あるいは今回のメンバーでつくりあげると自然とそうなっていくのか。(笑) たしか「ベルネーズソース」だったと思うのですが、元春さんがおっきい竹筒みたいなのを持って、それを振ったりひっくり返したりするたびに波の音が聞こえるのがとても不思議な感じで、気持ちよかった。 「日曜日は無情の日」に「全てが逆転する オムレツは卵と太陽に 波は風と鼓動に」みたいなフレーズがあって(実際にはもっと長い)私の意識の中に不思議な印象を残してくれる。 10曲目からは、これまでリリースされたアルバムの中に収録されているポエトリー・リーディングの作品。(「ああ、どうしてラブソングは...」は違うけど。)「ブルーの見解」の後「この曲は、とてもシニカルな感じだけど、実際はそうじゃない。それをこれから証明したいと思います。」と言って「ふたりの理由」。こういう組み合わせってなんだか素敵。(笑) ・・・実はこの辺りまでで、何度か演奏と元春さんの声のトーンがあまりに気持ちよくて時々意識を失いそうになる。(苦笑)その度に拓夫さんのテナーサックスが登場して意識が戻る。(爆)というコトが何度かありました。 前回のRock & Soul Review Tourでも(大阪以外で)披露された「ああ、どうしてラブソングは...」私は初めて聴きました。(苦笑)とはいっても先日ROCK IN JAPAN FES.2001がWOWOWで放送された時に映像として見てますし、元春さんの公式サイトMoto's Web Server内のRadio MWSでも紹介されてましたので、何度か耳にしたコトはあるわけなのですが、生で聴くと改めてそのエッジの鋭さに舌を巻く思い。「これから先は、僕が出会った、ちょっと風変わりな神様の話です。」というセリフで始まった後半は今回のイベントのために書かれたものでしょう。すごい引き込まれて、ドキドキしてしまった。 この後の2曲で会場ががぜん盛り上がる。ほぼオリジナルに近いアレンジなので、立ち上がりたくてウズウズしてる人、実際思わず立ち上がってしまう人、座ったままノリまくっている人。これぞまさに佐野元春サウンド!というべきパフォーマンス。 ・・・実はこの2曲に対して私は批判的なんです。なぜなら、元春さんファン(自分も含む)の前でこの曲をこの(つまりオリジナルの)アレンジで演奏すれば、確実にファンは喜び、盛り上がるであろうコトは容易に想像できるコトだから。私自身が元春さんのファンで、特にこの2曲、ものすごく大好きで、だからこそこのイベントでのこの2曲の存在にはどうしでも疑問を感じてしまいました。 確かに「詩と音楽の融合」というテーマを最も実現させた2曲なのかもしれないけど、でもこの形ならこの場所、このメンバーじゃなくてもできる。普段のライブでHKBの演奏でやったとしても何の違和感も感じない。普段のライブ、普段のメンバーでは絶対できないコトをこそやってほしかったんですよ、私は。 「ああ、どうして・・・」までが本当に「どこへ向かっていくかわからないエネルギー」に満ちていただけに、それが残念。 さて、今回のイベントはこれで終了。なのですが、元春さんの意向でもう1曲。今回のステージで唯一の「歌」。先日のアメリカ同時多発テロ事件が起きたその夜に書かれた「光- The Light」。今回のイベントの趣旨とは違っているけれど、これはどうしても歌ってほしかった。「次の機会」ではなく、今、この時にこそ歌って欲しいと思っていました。きっとそれは私だけではなく、あの会場にいた全ての元春さんファンも同じ思いだったコトでしょう。そんな私たちの願いを、人一倍誰かの悲しみ、痛みに敏感な彼が気づかずにいるなんてコト、あるはずがないですよね。 この歌の中で「あの光を消さないように」と彼は歌っています。そういえば15年も前に彼がつくった「ストレンジ・デイズ」という歌の中にこんなフレーズがありましたね・・・ あの光の向こうにつきぬけたい In Motion 2001 植民地の夜は更けて
MEMBERS Words,Reading,Music,Guitar:佐野元春
1.ポップ・チルドレン |
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